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ホイアン旧市街で中国と日本の友好を見る「潮州會舘」

世界遺産に登録されているホイアン歴史市街地。16世紀から17世紀に繁栄した当時の様子は、旧市街中心のチャンフー通りやバクダン通り、グエンタイホック通りなどで垣間見ることができます。

今回紹介するのは中心から東へ歩いたところにある閑静な町並みの中に佇む「潮州會舘」。日本と中国の友好の様子も見て取れます。

アクセス

DSCN0862.jpg中国らしい派手な門構え

今回紹介する潮州會舘は、ホイアンの中心を東西に走るチャンフー通りのさらに東。日本橋からチャンフー通りを東に歩いていると、やがてグエンユイヒエウ(Nguyen Duy Hieu)通りに繋がります。

同通りを歩いていると、左手に見える派手な門構えが目印。黄金色で潮州會舘の文字がうかがえるので確認してください。少し中心からは離れていますが、このエリアも旧市街の内なので、入場にはチケットが必要です。事前に購入しておきましょう。

潮州出身者が建てた派手な會舘

DSCN0808.jpg門をくぐった先に広がる會舘の全貌

潮州會舘は1845年創建の中国人のための會舘。交易時代当時、ホイアンには数多くの中国人が貿易のため来越しました。その中にはホイアンに根付いて生活をおくる人も少なくなく、彼らは現在では華人となってこのホイアンの地で穏やかに暮らしています。

潮州會舘は当時潮州出身の中国人が造った會舘となります。一見すると寺院のようにも見えますし、実際祭壇があり、奥では神も祀っているのですが、厳密には人々が集って、談笑を楽しむ憩いの場所。このように観光地化されている會舘は珍しいので、一般人が入れるのは貴重な体験でもあります。

海難の神を祀る

DSCN0819.jpgホイアンは常に水難に襲われていた

日中は潮州出身の華人が會舘内で談笑している様子をみることができるかもしれません。それ以外では奥の祭壇の間へと進み、祀っている海難の神(風と波の神様)を見学することができます。

海難の神は沿岸地域や港町では非常に重要視され、現在でも漁業に出るときは海難の神に無事をお願いするのが普通となっています。

中国神話に欠かせないあの神鳥も

DSCN0822.jpgホイアンでも言い伝えは同じのよう

こちらは中国神話に登場する神の鳥「鳳凰」。寿命がきたら自ら火を纏い灰になり、500年の時を経て再びひな鳥として復活します。

鳳凰と同じく龍、亀、麒麟の四霊は中国の天地創造に登場する重要な神。その四霊の神話はホイアンにもしっかりと伝わっています。

日本と中国の友好も見られる

DSCN0849.jpgこれは間違いなく日本人!

祭壇奥には大きな彫刻がうかがえます。花や魚などが描かれていますが、その中で一際大き目に彫られているのが、こちらの女性。髪を結った奥ゆかしいこの女性は、昔日本人町に住んでいた日本人女性であると言い伝えられています。

交易時代では、チャンフー通りに中国人町、グエンティミンカイ通りに日本人町があったとされていて、当時は日本人も中国人も交流があったようですね。

DSCN0833.jpg端々までしっかりと彫られていて品質はとても高い

また、それ日本人女性だけではなく、彫刻全体を是非ご覧ください。下には魚、中央には人と自然、上には雲、さらに上にはまた人。これは自然界と天界を表しています。技巧が凝らされているので、こちらにも注目です。

意外と見ごたえがある潮州會舘

ガイドブックを見ても、あまり潮州會舘の情報は載っていなく、目立つのはやはり旧市街の中心地。しかし、今回ご説明したように、潮州會舘は煌びやかな派手さはないものの、古くから残る歴史の一端や、日本との繋がりを端々に感じることができる、おすすめのスポットとなっています。ホイアン観光の際は、是非潮州會舘を訪れてみてください。

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名称:潮州會舘
住所:362 Nguyen Duy Hieu St.
営業時間:7:00~11:00、14:00~17:00

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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