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アンコールトムの2つの寺院「バプーオン」と「ピミアナカス」

カンボジアの誇る世界遺産アンコール遺跡群。その中でも象徴とされるのがアンコールワットですが、そのワットと同じく存在感を放つのがアンコールトム。ワットと異なり複数の遺跡で構成され、かつては王宮があったともされている大規模遺跡群です。

今回紹介するのは、アンコールトムの中にある2つの寺院。「バプーオン」と「ピミアナカス」をご案内します。

アクセス

IMG_5899.jpgダイナミックな迫力のあるバプーオン

「バプーオン」と「ピミアナカス」はアンコールトムの敷地内にある大きな寺院。一般的にはバイヨンを見学したあとに足を運びます。日中は日差しがかなり厳しく、バイヨンですでに体力を消耗している人もいるはず。熱中症や脱水症状なども懸念されるので、けっして無理はしないように(このあとも遺跡巡りは続くので)。ツアーに参加される方は、1つの遺跡で15~30分ほど留まります。もし疲労しているのであれば、日陰で休んで体力の回復を優先させてください。

[local, 530]

伝説を残すバプーオン

IMG_5890.jpgピラミッド式の寺院

バプーオンはバイヨンの隣に位置していて、バプーオンとピミアナカスも隣接しています。敷地内はすべて徒歩での移動となり、道中道しるべはありませんので、個人で行く場合は最初にアンコールトムの全体図を確認するといいでしょう。バプーオンは「隠し子」という意味を持っていて、その昔タイ(当時ジャワ)と交流していた時代、タイの国王が自らの子をカンボジアの王に預けたとされています。しかし、カンボジア王の妃は、ゆくゆくはこの子供がカンボジアを統治して、タイの手中に落ちてしまうと危惧して殺害してしまいます。怒ったタイの王はカンボジアに向けて進軍。自分の子を殺害されることを恐れた妃は、幼子をここバプーオンに隠しました。そのことから、この寺院はバプーオン=隠し子と呼ばれるようになったと言われています(伝説)。

かつての美しいバプーオンの面影をみる

IMG_5885.jpg美しい参道はいまも当時のまま保存されている

バプーオンは11席半ば、ウダヤーテチャヴァルマン2世の手によって建築されたヒンズー教寺院。位置的にはアンコールトムの中心にあり、かつては50mを越える塔が中央祠堂の真ん中に聳えていたとされ、その後倒壊。倒壊した瓦礫の破片は隣の王宮にまで散らばっているとされています。また、このバプーオンは他の遺跡群と比べると修復がすすみ、限りなく当時の面影を残した外観で保存されています。前方に建つピラミッド型のバプーオンの祠堂へは200mある参道を歩き、当時は参道の両側に堀池が参道と同水位まで溜まっていて、まるで池の上を歩いているようだったと想像されています。

また後方には涅槃仏もうかがえます。仏はもちろん仏教のシンボル。同時期ではなく、後世の人々が後付けしたという説が有力です。

<DATA>

名称:バプーオン
場所:アンコールトム内
創建:11世紀中頃
宗教:ヒンズー教

トムの遺跡群で最も高い寺院。別名「天上の宮殿」

IMG_5904.jpg聳える寺院。階段は観光客用に後付けされた

アンコールトムの遺跡群の中で最も高台を築いた寺院。王宮の敷地内にあり、11世紀初頭に建立されたとされていることから、バプーオンよりも早くに作られました。バプーオンと同様の幅と高さの回廊があり、3層に積み上げられた中央には小さな祠堂が建っている典型的なピラミッド型。何のために作られたかはよく分かっていませんが、立地柄王族が利用していた何かしらの儀式の場であったという説が有力。かつてこの寺院は金箔で覆われた黄金の寺院であったと言われています。また、言い伝えによると、かつてこの寺院(宮殿)には美女に姿を変えるヘビが住んでいて、当時の王はそのヘビと毎晩交わらなければならなく、一度でも怠ると王は死に国が亡びるとされていました。

IMG_5905.jpg中央塔にはリンガが安置されている

かつては美しい黄金の王宮とされていたピミアナカスも、現在は御覧のようにいたるところで破損が見受けられ当時の面影を見るのは困難。ただし、ラテライトの基壇と時代の流れを感じさせる古めかしい外観は見るに値し、ヘビ伝説と併せて見学するとより感慨深いものを感じます。バイヨン、バプーオンと続き、荘厳な遺跡を渡り歩いていることですので、ここでしばしの休息を。修繕は現在進行形で行われていて、頂上へは上がれなく外観のみの見学となっている可能性も多分にあります。

<DATA>

名称:ピミアナカス
場所:アンコールトム内
創建:11世紀初頭
宗教:ヒンズー教

[local, 532, 533, 538]

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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