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ニャチャンでチャンパの遺跡を巡る「ポーナガル塔」

ニャチャンは旅行者にとってはビーチリゾートというイメージが強いですが、実はそれ以外の名所も数多く存在します。今回紹介する観光スポットは「ポーナガル塔」と呼ばれる遺跡。ポーナガルとは女神の名前で、この遺跡を築いたチャンパ王国の民が崇拝していた神の一翼。

市街地からもほど近いので、海水浴だけでは観光を終わりたくないと考える方は、こちらのスポットに足を運んでみてください。

アクセス

IMG_7494.jpg石段を上がって丘の頂へ

ポーナガル塔はニャチャン市街地の北部。ニャチャンビーチが傍に広がるチャンフー通りをひたすら北に進んで橋を渡ったすぐ左手にあります。市街地からはタクシーを利用するといいでしょう。もし体力があるなら自転車をレンタルするのもおすすめ。

周辺には泥温泉で有名なタップバーホットスプリングや絶妙のバランスで岩石が浮いているホンチョン岬があり、いずれも自転車で行ける範囲内です。このポーナガル塔と泥温泉、ホンチョン岬の3つの名所がニャチャン北部エリアの観光となり、すべて回っても半日で巡ることができます。是非積極的に足を運んでみてください。

丘から眺める景色も絶景

IMG_7588.jpg丘を上がった先から見える風景

ポーナガル塔に着いたらまずはチケット売り場で入場券の購入を。そのすぐ傍には10店舗ほどお土産売り場が並んでいます。特に目新しいものはありませんのでここで買う必要はありませんが、気になったら覗いてみてください。

ポーナガル塔は小高い丘に建つため、少し傾斜が急な石段を上がることになります。そして、丘をのぼりきった先には、ポーナガル塔と呼ばれる5棟の祠堂が点在しています。また、疲れたら傍にあるベンチで一休みも。そこから眺められるシティ&リバービューはかなりの絶景です。昔ながらの漁船が川を往来している背にそびえる高層ビルや建設中の建物。時代の発展を目の当たりにすることができます。

ポーナガル塔の概要

IMG_7490.jpgレンガ造りの遺跡群

この遺跡群は8~13世紀にかけて建立され、現在では5つの祠堂が丘の上に点在しています。チャンパ王国は2世紀から19世紀にかけて実在した王国で、主に中部と中南部の沿岸地域に勢力を築いていきました。その当時北ベトナムは中国に、南部はカンボジアに支配されており、チャンパ王国もたびたびカンボジア軍の侵攻を受けていました。その証拠にカンボジアの世界遺産アンコールワットには、チャンパの兵士が描かれています。

チャンパの民は勢力を築くと、そこに聖域なる祠堂を建てていました。このポーナガル塔もその聖域の一つとなります。中には財宝もあったらしいのですが、現在ではほとんど盗難でなくなってしまっているのが現状。

IMG_7533.jpg祠堂内部の様子

残された遺産の多くは別の場所に安置されたり、博物館に展示されたりしますが、ポーナガル塔の場合はチャム族およびベトナム人ともに厚い信仰の対象でもあるため、発掘品はこの敷地内にある小さな博物館に展示されているほか、ポーナガル像は祠堂に安置されたままとなっています。

観光客も多く訪れる名所にもなっていますが、信心深いベトナム人たちが毎日参拝に訪れる大切な拠り所の一面もあります。

観光としてポーナガル塔を楽しむ

IMG_7513.jpgポーナガル塔の祠堂外観

ポーナガル塔の祠堂はベトナム各地に築かれたほかのチャンパ遺跡と同じ建築技法で作られています。こちらはレンガを少しずつずらして重ねていく建築様式で、祠堂内部は天井にかけてつぼみのように狭くなっていくのが見て取れます。広い空間を確保できるのがこの建築の特徴です。

IMG_7527.jpg衣装の貸し出しも行っている

祠堂はすべて同じような作りと内部なので、5つ全部の中を入る必要はありません。また、敷地内では参拝者が着る衣装の貸し出しも行っています。一応無料ではありますが、近くにチップボックスがあるので、ささやかな紙幣を入れておくといいでしょう。仏教徒でもヒンドゥー教徒でもなく、ましては縁もゆかりもない外部の旅行客にも衣装を貸してくれるのは、非常に大らかなベトナム人らしい発想です。

IMG_7551.jpg土器や手のひらサイズのガネーシャ像など

こちらはお土産コーナー。土で作られた土器やガネーシャ、ポーナガル塔など。レリーフもしっかりと刻まれていて完成度は高め。一体500円~。お土産にはちょうどいいかもしれませんが、かなり壊れやすそうです......。

また、土器などの骨董品はレプリカであることの証明書がなければ空港で没収される可能性があります。原則ベトナムは骨董品の輸出が禁止されていますので、あまりにも精巧にできていたら、逆に怪しまれる可能性があります。

博物館で遺産を愛でる

IMG_7556.jpg大きなポーナガル神

10本の手を持ち、ふくよかな乳房が露わになったポーナガル神はチャンパ王国では女神として最高神シヴァ神と並んで崇められていました。現在でも数多くの神像が残されていて、いかに彼らにとって重要な信仰の対象であったのかが見て取れます。

こちらは祠堂の裏側にある簡易博物館で、ここで発掘されたものだけではなく、当時チャンパ王国が着ていたとされる冠婚葬祭の衣装なども展示されています。

IMG_7567.jpgリンガ

シヴァ神の男性器とされているリンガ。この世の生命の創造と破壊を繰り返す象徴としてヒンドゥー教ではおなじみですね。

ただ、現在では子宝祈願のご利益もあると言い伝えられていて、不妊症は妊娠を希望する女性がリンガに触れると、妊娠するとのこと。チャンパ王国の全国各地の遺跡でも発見されています。

チャム族によるダンスを鑑賞

IMG_7630.jpg祠堂の目の前で舞踊を披露

ポーナガル塔では1日数回チャム族の人たちによるチャムダンスを鑑賞することができます。突然赤いカーペットが敷かれ、アオザイのような衣装を着た女性たちが舞踊を披露してくれます。伝統打楽器を打ち鳴らす音が聞こえたら、すかさず向かってください。

公演時間は不定期。人が集まり次第とのことなので、祠堂を見学後にまだ開催されていなかったら、近くの休憩所でしばらく待ってみるといいでしょう。

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名称:ポーナガル塔(Thao Po Nagar)
住所:2 Thang 4 St., Nha Trang
営業時間:6:00~18:00

[local, 409, 20]

著者プロフィール

著者写真

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。
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