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ハノイの名物雷魚の油鍋の名店「チャーカー・タンロン」

旅行者がハノイの名物料理として押さえておきたいのが『チャーカーラーヴォン(Cha Ca La Vong)』。日本では「雷魚の油鍋」として紹介されています。今回紹介するチャーカー・タンロンは、そのチャーカーラーヴォンの老舗レストラン。ハノイ人や在住日本人は間違いなく知っている人気のお店です。チャーカーラーヴォンを扱う専門店自体それほど多くはありませんので、旅行者はこちらのお店に足を運んでみてください。

アクセス

IMG_9574.jpgハノイで老舗を誇る名店

在住日本人に「おいしいチャーカーラーヴォンのお店はどこか?」と訊ねると、決まって答える2つのお店がチャーカー通りにある「チャーカーラーヴォン」と、ここ「チャーカー・タンロン」です。共に旧市街西方向にあり、チャーカー・タンロンはドゥンタン(Duong Thanh)通りにあります。小さなお店で、しかも間口も狭いので見逃してしまいがち。住所の番地をチェックしながら一軒ずつ確かめてください。

ちなみに、開店は11時からなので、昼食どきとなります。早くに行くとまだ営業していないので、十分注意してください。

小さな店内は店の歴史を感じる

IMG_9575.jpg旧正月以外は毎日休まず営業している

こちらがお店の内装。テーブル席が2列縦に並んでいるだけで至ってシンプル。町中にありがちのベトナムらしい演出は一切加えていないところが老舗を感じます。しかし、単なる古めかしい店でもありません。赤いテーブルクロスは皺ひとつなく、テーブルチェアはすべて漆が綺麗に塗られた骨董品。何気ないインテリアがすでにアンティーク。それがハノイの老舗の魅力といえます。

IMG_9580.jpg卓上コンロ。最近はIHも増えてきた

ベトナム全国で使われているお馴染みの卓上コンロ。コンロといってもガス式ではありません。真ん中の穴に固形アルコール燃料を入れて、マッチで火をつけます。サイドにあるつまみは燃料を入れた穴の開閉調整。これで火の強弱を調節します。ベトナムではこの旧式のコンロが現在でも全国どこでも活躍しています。チャーカー・タンロンも例外ではなく、昔からこれを使っているようです。

ハノイの名物チャーカーラーヴォンとは

IMG_9583.jpg一式すべてセットになってでてくる

ここのレストランに限らず、チャーカーラーヴォンを出すお店はどこもメニューはこれだけで勝負の専門店となります。ですので、席に座ったら何人前かだけを指を立てて伝えれば、あとはご覧の一式を運んできてくれます。ここで運ばれたのは、まずはフライパンとその上に載った雷魚のぶつ切り。

お店によっては雷魚以外の白身の川魚を出すところも最近は多くなってきました(味はそう変わりありません)。そして小皿に添えられたのが刻み唐辛子とピーナッツ、そして米粉のちぢれ麺のブン。2つのお椀にはそれぞれ香草とネギが入っています。他のレストランでも、このセット内容は早々変わりありません。ブンはお代わりできます(有料)。また、チャーカー・タンロンは基本はこの料理を頼むことが前提ですが、魚の頭を出汁にしたスープなども別途注文することができます。

IMG_9585.jpg慣れた手つきの店員は確かな腕を持っている

「チャーカー」とは揚げた魚という意味を持っています。フライパンに多めの油をひいて。予め下味されて揚げられて出てきた雷魚もしくはラン魚のぶつ切りを油と一緒に再度炒めます。そしてディルを中心とした幾種類の香草(ハーブ)とネギを混ぜていきます。油が十分絡んだらこれで完成。

IMG_9591.jpg油鍋と呼ばれる所以。多量の油を使う

ベトナムではもともと川魚を調理素材に使う習慣がありました。しかし、ご存知の通り川魚は独特のクセのある味と匂いが特徴で、これはベトナム人も悩みどころでした。そこで、このように多量の油を使って揚げたり焼いたりし、さらに香草と一緒に調理することによってクセをなくすよう努めてきました。チャーカーラーヴォンはベトナムの先人たちが築いた貴重な産物といえるでしょう。

マントムも是非挑戦を

IMG_9213.jpg新しい味に出会えるはず

つけダレに使うのは、こちらのマントムと呼ばれる小エビを発酵させた泥状の液ダレです。強い匂いと味を持つため、初めての人はなかなか受け付けないかもしれませんが、こちらもベトナム料理では必須ともいえる調味料。同じくハノイ名物のブンダウマントムでも使いますね。辛いのが好きという方は、刻み唐辛子を入れて味を調整してください。

ただし、旅行者の中にはどうしても食べられないという人もいらっしゃるので、その場合は従業員に頼んでヌクマムを持ってきてもらいましょう。旧市街のお店は外国人も多く訪れるので、しっかりとヌクマムの準備もしてくれています。

IMG_9593.jpg香草の香りで川魚の臭みは感じない

まずはお椀にブンを添えて、その上に炒めた白身魚と香草をのせ、さらに砕いたピーナッツを撒いてマントムをかければ出来上がり。よくかき混ぜて食べてください。

チャーカーラーヴォンは一人前で12万ドン。他の料理と比べれば格段に値段が高いです。そのせいか分かりませんが、ベトナム人の中にはチャーカーラーヴォンを食べたことがない、という人も少なからずいます。ただし、誰もが答えるハノイ自慢の名物には変わりありません。ハノイの歴史を噛みしめながら堪能していってください。

<DATA>

名称:チャーカー・タンロン(Cha Ca Thang Long)
住所:21 Pho Duong Thanh St. Dist.Hoan Kiem
営業時間:11:00~21:30

[local, 64, 623]

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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