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フエ観光の王道、大人気市内観光

中北部フエはベトナム最後の王朝阮皇帝が建てた建築物が眠る古き都。1993年にはユネスコ世界遺産にも登録されています。そのフエ観光は、ホーチミン観光と異なり、もっぱら世界遺産の建築物を見て回るのが観光プランの定番です。ホーチミンのようにそこかしこに雑貨店やレストラン、スパがあるわけでもないですし、時間をかけたいショッピングセンターもありません。

世界遺産の観光名所を効率よく回ってくれる市内観光ツアーが人気。日本人も欧米人も基本はこの市内ツアーでフエ市内を周遊することになります。そこで、今回はその市内ツアーの中身をご紹介したいと思います。ツアー&旅行会社によって若干内容は異なりますが、ほとんど同じと考えていいでしょう。

半日と1日ツアーどちらがおすすめ?

DSCN8286.jpg現地ツアーデスクからでも気軽に申し込みできる

市内観光ツアーは半日と1日が用意されていて、基本は半日でOKです。当ツアーの目的は個人では困難な場所に効率的に行くことになります。1日ツアーの場合は、午後は阮朝王宮に行くことになりますが、こちらは市街地から徒歩もしくはシクロやタクシーでも簡単に行くことができます。

また、基本当ツアーは廟や陵内を歩きつくすことになるので、かなり疲れます。午前中はツアーに参加して、午後は一度ゆっくりと休憩して、立て直したのち個人で再開するのがよさそうです。

1、ミンマン帝廟

DSCN8341.jpg紫禁城をイメージしたミンマン帝廟の3つの門

最初に訪れるのはミンマン帝廟。1820年~1841年在位した2代目皇帝です。当時ベトナムは越南と読みましたが、ミンマン帝は中国(清)の皇帝に直訴して名前を大南と呼ぶことを認めてもらいました。これは中国の南方に位置する、いわゆる中国の属国であることを示しています。

観光では中央が閉ざされた3つの門のある楼やミンマン帝の功績をたたえた石碑、人物や象、馬などの石像といった中国風の景色をみることができます。観光では一番最初に行くところですが、見て回る箇所は一番多いので、体力をセーブしながら歩いてください。

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2、カイディン帝陵

DSCN8430.jpg華やかな装飾が印象に残る

自身が無宗教だったことから、さまざまな国の装飾を取り入れた華やかな陵。こちらはカイディン帝の建築物です。1916~1925年続いた12代皇帝で、中華秩序よりもフランスを好んでいたことから、建築様式も西洋風。内装も派手で、ガラスや陶器は西洋、アジア各国から輸入していたとされています。

また、カイディン帝の黄金の像の下には遺体が安置されているらしく、遺体の身元が判明しているのは、歴代皇帝の中でもこのカイディン帝のみと言われています。石段を上がって丘を上がりますが、そこから振り返って見る自然の景色も絶景。建物は一つだけなので、ゆっくりと見学に時間を費やすことができます。

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3、キンヴァンアン武道(Martial art of Kinh Van An)

IMG_6371.jpg武道の達人が乱舞する

ミンマン帝廟、カイディン帝陵と見学したら、次は少し骨休み。Martial art of Kinh Van Anでは武道を見学することができます。棒や剣、素手による組手は圧巻。また、瓦割や槍を喉に刺して曲げるようなハラハラする場面に目は釘づけ。

座って鑑賞できるので、ここでしばし疲れた体を休めましょう。

IMG_6375.jpg素手で複数枚の瓦を一瞬で割りました

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4、トゥドゥック帝廟

IMG_6475.jpg緑豊かな保養地

歴史遺産の建築物群はこれが最後。トゥドゥック帝は4代皇帝で、在位期間は1847~1883年と歴代皇帝の中で最長を誇ります。キリスト教を弾圧しようとして、フランスの怒りを買った張本人でもあります。

森林の中に建てられた廟内は静かで自然と調和し、耳を澄ませば野鳥の声が聞こえてくるほどのどかです。ここはトゥドゥック帝の別荘地として作られ、死後は廟となりトゥドゥック帝を祀っています。敷地内奥には墓もありますが、遺体はここには眠っていません。中央の池ではかつて皇帝が小舟に乗って釣りに興じていたといわれています。

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5、ノンラーとお香の村(Conical Hat Making&Incense Making Village)

IMG_6411.jpgお香のにおいが当たりに立ち込めている

トゥドゥック帝廟を見学したあとは、ノンラーとお香の村に見学へ行きます。ノンラーとお香はフエの代表する特産物。特に仏教大国であるベトナムでお香は生活の必需品といってもいいでしょう。毎年テト正月にはベトナム人の多くが寺院に参拝に行き、そのとき必ずお香をあげます。

正月近くなると、決まってテレビのニュースでフエでお香を作っている職人の様子はクローズアップされ、また、供給がおいついていないという報道もされます。

IMG_6427.jpgノンラーはお土産にも人気がある

ノンラーはベトナム伝統の菅笠。三角錐の形はベトナム独自で発展した、湿度による蒸れを防止する役割があります。日本では菅笠をかぶっている人はほとんどいませんが、ベトナムではまだ町中であってもよく見かけます。いまにおいてもしっかりと民間の習慣になじんでいるので、現在ではアオザイと並ぶベトナムを象徴する特産物となっています。

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6、阮朝王宮(午後)

IMG_5919.jpg阮朝王宮。歴代皇帝が居住した

ここまでで午前の部は終了。ツアー会社が提携しているレストランで食事(ビュッフェ)を楽しみ、その後はホテル解散。もし1日ツアーに参加しているのであれば、午前組と別れたあと、そのままバスは阮朝王宮に向かいます。

阮朝王宮は歴代阮朝皇帝のおひざ元。現在は旧市街の中心として、そしてフエの象徴になっています。ベトナム戦争で多大な被害を被り、現在も復旧作業が続いています。広い敷地なので、2時間~3時間ほど時間をかけてじっくりと回りたいところです。

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7、ティエンムー寺(午後)

IMG_6032.jpg7層の塔が中央に立つ

フォン河のほとりに立つ7層の塔が象徴的な仏教寺院。1601年建立と古い歴史を持ち、天女の伝説があることから、「天女の寺」とも呼ばれています。石段を上がった小高い場所に位置し、そこから望むフォン河の雄大な景色は美しく、郷愁漂うフエの古き良き雰囲気に浸ることができます。

最奥部に構える本堂では僧侶が読経に励んでいて、その様子も見学することができます。阮朝王宮と同じ旧市街ですが、少し離れた西部にあるので、個人で行く場合は王宮からはタクシーで行くようにしましょう。

フエの要所をめぐる半日&1日ツアー

世界遺産建築物を見て回る以外のフエの楽しみ方は、のんびりと公園を散策したり、市場を見学したりする程度。基本は今回紹介した建築物のみとなります。フエ含む中部旅行を計画されている方は、フエは1泊2日から楽しむことができることを覚えておくと、いいでしょう。

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著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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