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古都フエの最大名所「阮朝王宮」

ベトナムで最初にユネスコ世界遺産に登録されたのは1993年でときで、「フエの建築物群」でした。世界遺産は今回紹介する阮朝王宮だけではなく、歴代皇帝の時代に建てられた建築物すべてとなっています。ただし、中でも皇帝が暮らしていた王宮は、名実ともにフエ最大の観光名所。1802年~1945年まで続いた、古き都であり、最後の王朝があった阮朝王宮の内部の様子をご紹介したいと思います。

アクセス

IMG_6007.jpg緑豊かな通り

阮朝王宮はフォン川を挟んだ北部の旧市街に位置しています。地図で見ると王宮の敷地面積はかなり大規模で、敷地内には博物館や美術館もありますので、時間と体力に余裕がある方は、そちらも足を運んでみましょう。

また、王宮含む他の世界遺産建築物群をバスで回るツアーもあり、1日がかりで主要の要所はすべて見て回ることができます。ただし、多くの旅行者は、新市街のレロイ通り、ファングーラオ通り周辺のホテルに滞在することになり、そこからだと徒歩もしくはタクシーやシクロで5分とかからずに行くことができます。

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敷地内の移動手段

IMG_5863.jpgベトナム三輪人力車

敷地内の王宮周辺は車の乗り入れは禁止されていますが、少し離れると乗ることができます。王宮周辺はシクロに乗って巡ることができます。王宮の外堀を一周するとなると、徒歩だとかなり体力を要します。特に乾季の時期だと、日中は日差しがとてもきびしいので、シクロに乗って回るのもいいかもしれませんね。

IMG_5994.jpg最近は主要観光スポットで見かけるようになった

こちらは電気自動車。近年は北部と中部の観光名所で普及しはじめました。こちらでも車両が規制されているエリア内の王宮周辺を走ることができます。ただし、一台30万ドンで貸切ることになります。大人数で回るのであればいいのですが、一人や二人だと高くついてしまうのが欠点です。

阮朝王宮を紹介!

DSCN8661.jpg深い歴史を感じる入口

グエン(阮)朝は1802年~1945年まで続いた全13代皇帝からなる王朝でした。ベトナム最後の王朝といわれ、これ以後第インドシナ戦争がはじまります。当初歴代皇帝は中国を君主としていましたが、1887年以降はフランス植民地時代が幕あけし、西洋スタイルの建築様式も取り入れられるようになりました。その時代に勤めていた皇帝によって、建築物群の色が異なるのが特徴。日本の江戸幕府とは雰囲気が異なります。

最初の3つある正門は紫禁城に倣っているといわれ、当時真ん中の門は皇族しかくぐることが許されなかったらしいです。この3つ並んだ門は同じく世界遺産建築物になっている2代皇帝ミンマン帝にも使われています。

フエのシンボルマーク「フラッグタワー」

IMG_5862.jpg威風堂々と風と戯れるベトナム国旗

王宮向かいには威風堂々と建つフラッグタワーがあります。ベトナム戦争時の銃弾跡も残されています。普段はベトナムの国旗が空高く掲げられていますが、式典やイベント時には友好国の国旗も傍に掲げられ、夜のライトアップも美しいです。

橋向こうのレロイ通りからでも眺められることから、フエのシンボルタワーとして支持され、道に迷ったときなども、遠くに望む国旗を目指すことができます。

復旧作業が進む王宮内

IMG_5925.jpg兵どもが夢のあと......

実は、残念なことに阮朝王宮の中央部分は現在芝生の広がるだけとなっています。ベトナム戦争時、このフエは激戦地となっていたため、王宮も激しく損傷しました。現在では復興作業が続いていると同時に、入口傍ではビデオ上映によって、当時の阮朝王宮を3Dにて復元しています。その脇にはジオラマでも再現しています。

IMG_5934.jpgいつしか当時の阮朝王宮を目にすることができるのか

まだ当時の30%程度しか復旧されておらず、まるでスペインのサグラダファミリアのように、いつ完成するかはわかっていません。昨今は王宮や建築物の入場料が跳ね上がり、この費用を復旧費用に充てるとの報道がされました。今後に期待ができます。

皇帝の衣装を着て記念撮影

IMG_5902.jpgやはり中国を意識した衣装デザイン

王宮内部では、皇帝がかつて着ていたとされる衣装を着て記念撮影をすることができます。

音楽を鑑賞

IMG_5945.jpg不定期に開催される

廊下や閲是堂では、かつて皇族のみ鑑賞が許されたとされる伝統舞踊や音楽を聞くことができます。廊下ではじまる伝統音楽は不定期で開催。王宮の衣装を纏った男性女性が弦楽器と打楽器を使って演奏してくれます。

お土産は注意が必要

IMG_5976.jpg飲料水なども売っている

敷地サイドは詰所と思われる場所で、現在は休憩所やお土産処となっています。お土産は骨董品めいたものが多く、中には記念に買っていく方もいるかと思います。

ただし、原則ベトナムにおいては骨董品の国外の持ち出しが禁止されています。もしレプリカだとしたら、それを証明するものを空港で提出しなければならないときがあります。入手場所や値段をしめしたレシートは必ず受け取っておきましょう。

中華要素が入り混じる

IMG_5927.jpg修繕が終わった箇所は非常にきれいに整備されている

柱、屋根、壁、扉、戸と随所に中国の要素が混じりあっており、派手な装飾や施された文様は龍であったり虎、狛犬、獅子などは中国を彷彿とさせます。すべてをじっくりと見学すると2時間も3時間もかかってしまいます。冷房の効いた部屋などはありませんので、要所を見学するのがいいでしょう。

IMG_5950.jpg龍の装飾
IMG_5978.jpg古き良き香り漂う

ベトナムを象徴する花でもある蓮が咲く池。絵になります。

阮朝王宮に出かける前に

阮朝王宮を観光する際は、その周辺の見どころも見て回るのが効率のいい散策です。宮廷美術館は骨董博物館、軍事博物館のほか、フォン川沿いを西に進むとティエンムー寺もあります。ここらへんはすべて半日で回るようにすればいいでしょう。ツアーに参加するのであれば、1日ツアーがおすすめです。すべての建築物を回ったあとは、市場や町並みの散策に時間を費やすといいでしょう。

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著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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